洒落怖Part101より「くる」


伯母(母の姉)はちょっとおかしい人でね、たまに「ときどき死んだ彼氏が私を呼ぶのよ」というような話を突然始めたり、そういう人だった。

それで、伯母の娘が大学の入試に合格したっていうんで、親戚一同でお祝いの席を持ったんだ。

そこで、伯母さんはまたおかしなことを言い始めた。「離婚したい」などと笑顔で語るのだ。夫と娘の前でだ。

数年前から離婚したいなどと時折口走ることがあったが、今回ばかりは場がすっかり凍り付いた。伯母は手前勝手な話を並べ立てている。伯母の夫は話に耐えているようだった。

なんてことだ、と思いながら、従姉の方を見やると、うつむいて顔を真っ赤にしていた。耐え難い恥ずかしさを感じているようだった。

その様子を見て、俺は伯母に向かって口を開いた。なんてことを言ってくれるのだと。

伯母は激怒して罵詈雑言を投げつけてきたが、こちらはその場を味方に付けていたから、思う存分反駁した。

あんたみたいなガキに何が分かるってのよ。顔面蒼白になりながら罵倒してくる伯母。食い下がる俺。

そろそろやばいかな、というころに母が割ってはいり、話はそこまで、あんたは家に帰っていなさい、と話を打ち切った。

それで先に家に帰り、両親を待っていた。やがて両親が帰ってきたが、そのときの母の開口一番の一言は忘れもしない。

いますぐ荷物をまとめてお爺ちゃんのところに逃げなさい。

「殺す」って言っていた。だから逃げなさい。…

洒落怖Part101 - くる