2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

洒落怖Part99より「諭すおっさん」

受験時代の話。 自分は東北の農家の倅だが、東京の大学を目指して勉強していた。目指すのは、早稲田、慶応。当時の自分は農家を継ぐなど真っ平ごめんだと思っていたのだ。今では農家の後継ぎだが。 いざ受験の日、自分はろくに解答欄を埋められないまま試験…

洒落怖Part190より「振り返らない男」

母がまだ若い頃に聞いてきた話。田舎の宿場に受験生がやってきた。彼は豪農の息子であった。東京の大学を来年、受験するのだが、実家にはまだ幼い弟妹、祖父母に両親をはじめ、子守娘に下男などがおり、家族も人の出入りも多く、受験勉強には集中できない環…

洒落怖Part208より「川岸の戦友」

祖父から聞いた話。 祖父は戦時中、南方の戦線に配置された。敵が多く、日々、損害を抑えながらじりじりと後退していく戦いが続いた。 ある日、ついに部隊は敵に捕捉され、苛烈な砲撃を受けた。応戦するも、祖父は砲弾の爆発にあおられ、意識を失った。…洒落…

洒落怖Part156より「廃鉱からの発掘品」

20年ほど前、中学生だった頃の話。 列車旅行が好きだった自分は、小遣いがたまると友人Oと一緒に札幌発の列車に乗り、道内を巡っていた。当時は赤字ローカル線の廃止が相次いでいた時期で、道内から一つ二つと路線が姿を消していた時期だった。中学2年生の夏…

洒落怖Part87より「連れて行くから」

昭和40年代の話。当時、曽祖母は80代後半であり、老衰によって床に伏せっていた。曽祖母は自分の死期を悟っていた。曽祖母は、病の床から、当時高校生であった母に語ったという。「自分はもう十分に生きた。死ぬのは天命だ。悔いはない。ただ、一つだけ心残…

洒落怖Part129より「悪あがき」

ちょっと前に友人の兄が亡くなった。俺はその友人―Gの家に行って線香をあげてきた。Gと俺とは昔から―それこそ一番古い記憶があるうちから―付き合いのある仲だ。だからGの兄のこともよく知っていた。Gの兄は学究肌で、大学も留年した上に大学院まで進み、助手…

洒落怖Part195より「消える村民」

明治時代、蝦夷開拓時代の話。 当時、政府の募集で本土の人間が北海道道央へ開拓に向かった。開拓民は食料も資材も何も無いなかで小屋を建て、道を作り、次第次第に土地を広げていった。 その過程で開拓民はあるものに悩まされた。 熊だ。…洒落怖Part195 - …

洒落怖Part159より「動かない戸」

おばの家が古い仕出し屋で、弟が産まれる時にひと月ほど一人で預けられた事がある。昼は大人が忙しく働いていて子供ひとりでは暇なため、よく家の中を探検してまわっていた。その仕出し屋は表は店と母屋があり、裏には厨房と蔵、そして離れがあった。離れは…

時空の歪みPart4より「人生やり直し」

10代後半のときの事。 自分が子供の頃の写真を見ていた。テーブルに向かい、母の作った弁当を食べている写真だ。 あの頃に戻りたい…。そう思った。すると。… 時空の歪みPart4 - 人生やり直し

洒落怖Part231より「秘密」

同人ノウハウ板の怖い話から。先ごろ、オタク仲間のAが亡くなった。Aの親御さんから連絡が来た。娘の遺した漫画やゲーム、ゲーム機やCDなどの遺品をどう処分したものか分からない、しかし捨てるのも偲びない、もし差し支えなければ遺品を整理してくれないか…

洒落怖Part171より「田舎の事件」

母方の祖母の家には叔父夫婦が住んでいる。そこの小学4年生の次女が病院に搬送されたらしいと母から聞いた。「犬に噛まれたらしい」と母は言った。「そうなのか」と自分は思った。それだけの事のはずだった。しかし、真相は違うらしい。…洒落怖Part171 - 田…

洒落怖Part150より「おお、Yか」

友人Yから聞いた話。2年ほど前、Yは祖父を亡くした。Yはおじいちゃん子だったので、葬儀の時は体面も取り繕わず泣いたのだそうだ。初七日の日の事だった。その日は暴風警報が出るほどの強風が吹いていた。折悪く手元の金も底を着き、バスにも乗れないので仕…

洒落怖Part122より「土中の顔」

警察標識などを立てる仕事の監督をしている。 容赦なく街なかを掘り返さなければならないので、時折、妙なものを掘り返す事もある。…洒落怖Part122 - 土中の顔(2010 05.29追記) Twitterで、この話に関連があるのではないかという、中国の風習と生物につい…

洒落怖Part27より「ワイン倉庫」

20年ほど前、フリーターをしていた頃の話。アルバイトで貯めた金を使って海外での生活を始めた。ヨーロッパの某国で、就労ビザを取って暮らし始めた。当初は古びたアパートに住んでいたが、手持ちの金は減るし、就労ビザを取っているにも関わらず働いていな…

洒落怖Part102より「雪山」

夜。 男は目覚めた。男は風景写真家で、この雪山には三日前から助手と一緒に撮影に来ていた。 ふと男は気づいた。昨日の記憶がない。正確には昨日の朝から…… 覚えているのは一面に広がる白。雪崩……?そうだ、俺は雪崩に飲み込まれて…… そして男は辺りを見回…

洒落怖Part64より「良栄丸事件」

1927年10月31日、カナダ西海岸バンクーバー島。 ワシントンのシアトル港への帰路についていたアメリカの貨物船「マーガレット・ダラー」号は、行方不明になっていた小型漁船「良栄丸」を発見した。 ボロボロに朽ち果てた船体、ミイラの転がる甲板、激しい死…

洒落怖Part204より「質問」

事件に関する重要な記録をここに公開する。 ICレコーダーによる記録である。 吹き込まれた声は基本的に可美村緋那(かみむら ひな)のものだけである。 彼女は警視庁の刑事であると共に、IZUMO社航空機墜落事故の唯一の生存者である 可美村貴代(たかよ)…

洒落怖Part203より「おもでものがおぢだ」

自分は秋田の出身である。地元には、冠婚葬祭の時に通ってはいけないと語り伝えられる道がある。…洒落怖Part203 - おもでものがおぢだ

洒落怖Part157-1より「母親の怒り」

かなり昔、自分が4歳頃の話。明け方4時くらいだったかも知れない。うすぼんやりと暗くて周りの様子が明らかでない時間帯。私は母に怒られている。「なんであんなことをしたの!」 なんの事かが分からない。身に覚えがないのだから。とにかく、自分は怒られて…

洒落怖Part126より「初めての子供」

モデルハウスの観覧者の案内をする仕事をしている。 ある日、いつものように事務所の前で客を待っていた。観覧者は若い夫婦である事が多いが、この日の客は小学校に上がるくらいの子供を連れて現れた。若い夫婦にしては珍しいと思ったが、出来婚なのかもしれ…

洒落怖Part129より「リンフォン」

リンフォンとは何か。手のひらに乗る地獄である。先日、アンティーク好きの彼女とドライブがてら、骨董品店やリサイクルショップを巡っていた。自分もレトロゲームや古着を集めるのが趣味なので、楽しいデートになった。おたがい幾つか戦利品も手に入れて、…

洒落怖Part205より「おうおうさん」

自分が小学生のころの話。 地元にその存在を囁かれる怪人がいた。「おうおうさん」あるいは「おっおさん」と呼ばれる怪人である。…洒落怖Part205 - おうおうさん

洒落怖Part128より「伝染する感情」

自殺死体を見たことがあるだろうか?私は2回ある。 その度にある感情に囚われた。1度目は、犬の散歩をしに近くの林を歩いているときだった。犬が変わった匂いを嗅ぎつけたらしく騒ぎだした。そのときはまだ何が起きているか理解していなかったが、突然、ある…

洒落怖統合より「鳴りやまない目覚まし時計」

11年前の話。メゾネットタイプのマンションに住んでいた。1棟に2世帯分しかない小さなマンションだ。ある夜、深夜3時ごろ、目覚まし時計の音で目が覚めた。自分の部屋のものでなく、隣人の部屋のものだ。…洒落怖統合 - 鳴りやまない目覚まし時計

洒落怖まとめ 不可解な話より「ネズミ」

母の実家は東北にある。子供の頃から夏には避暑を兼ねて実家に逗留していた。実家は古い日本家屋で木造の平屋建てである。時折、天井裏をネズミのようなものがかけていく音がする。 小さい頃はその音が怖かった母だが、次第に慣れていった。祖母は、「またネ…

洒落怖Part128より「特別なラム酒」

イギリスではラム酒のことを「ネルソンの血」と呼び表すことがある。 かのトラファルガー海戦で戦死したネルソン提督の遺体は、腐敗を防止するためにラム酒に漬けられたのだ。…洒落怖Part128 - 特別なラム酒

洒落怖Part105より「マタギ」

知人に猟師がいる。 専業の猟師ではなく、季節限定で兼業してやっている猟師だ。何年も前の冬のこと。その猟師が連絡を寄越してきた。持ち山にスキー場の建設計画が持ち上がっていて、環境保護団体と一緒に反対活動をしている。それに助力して欲しいというこ…