洒落怖Part153より「穴」


中学生だったときの話。

学校で定められている通学路とは別に近道があった。
かなり複雑な道で、千切れた鉄条網、膝くらいまである草、ぬかるみなどがあった。
その道を行くのはすこし億劫だったが、10分ほど通学時間を短縮できるのでよく使っていた。

ある日、いつものように破れた鉄条網をかいくぐっていて、ふと横を見たら、地面に大きな穴が空いていた。
幅は1mくらいで、深さは2mほどあるように思われた。

穴の中を覗いてみると、土にまみれた人形があった。
脚は片方が折れていて無くなっていた。土があちこちについていて汚れていたが、顔だけは妙に綺麗だった。

角度を変えて見ているうちにあることに気が付いた。大きな穴の側面に小さな穴が空いているのだ。
このことに興味をそそられて、よし、降りていってよく見てみようと意を決した直後、穴の中で何かが動いた。

側面の小さな穴から、人形の脚が飛び出してきた。
しかもごそごそと動いている。

穴の中には、誰かがいるのだ。…

洒落怖Part153 - 穴