洒落怖Part160より「ノイズの唇」
俺のばあちゃんの家は離島の奥深くにある。
家から港まで車で六時間、そこから船で二時間をかけないとたどり着けない。
そんな辺鄙な場所だったが、小学生の夏休みや冬休みの時に訪れるときは楽しみだった。
今ではただ遠いとしか感じなくなってしまったけれど。
向こうには、二つ年上の従姉がいて、よく二人で遊んでいた。
姉ちゃんは泥汚れとか全然気にせずに、森の中で遊んだり川に入ったりと、俺の面倒を見てくれていた。
そして、なぜだか忘れたけれども、その日はひとりで遊んでいた。
やがて夕方になり、日も落ちかけてくると辺りはとても暗くなる。
そろそろ帰ろうと思ったら、小橋の近くにある電灯の下に姉ちゃんがいた。
後ろを向いて立ってて、電灯にもたれかかるような感じで。
姉ちゃんが迎えに来てくれたんだ。
そう思って近づくと、そいつが振り向いた。
そいつのあまりの不気味さに足が一瞬で止まった。