洒落怖Part5より「呼び寄せたモノ」


地名というものは不思議なものだ。地名の由来を知らずに単に語呂のみでイメージを類推すると、何かしらの弊害を招いてしまうようである。

たとえば「三瀬」というくらいの地名では、まだ大したイメージも湧かないが、「血洗島」とか「人首」などという地名もある。

ある場所でふと立ち止まり、交差点の標識に書いてあるそういった地名を目にしたがために、嫌な思いを度々してきた。

私が以前、所用で頻繁に通っていた街道は「涅槃」から「菩薩」という地名を繋げていた。

「菩薩」はともかく「涅槃」はなんとも嫌な感じである。

しかも、真偽は定かではないが、斬首場があったと言われる川の道路橋に連なる道である。

そうなると、私はいろいろと想像してしまう。

―「この道は、その首切り場に至るまでの引き回しの際に、罪人に覚悟を決めさせる為に名付けられたのではないのか。
菩薩、という名称が残る所をみると、そこに救いがあり、煉獄に落ち行く者が迷わないように、予行練習をさせているのではないだろうか。
…そうする事によって介錯人も、罪人に祟られる心配が無くなるのだろう」と。…

洒落怖Part5 - 呼び寄せたモノ