洒落怖Part255より「こっちを見る子供」
高校二年生の時にサッカー部に新しく入った。体力作りや友達作りができたらいいなと思ったのだ。
大学生なら二年時から新しいサークルに入るというのは珍しくはないのだろうが、高校で二年生から新しい部活を始めようというのはそうとう変わった例だろうと、自分でも思う。
その部活は十日ほどで辞めざるを得なくなったのだが、その理由についての話だ。
部活に入ってから、練習には付いていくのが精一杯だった。レギュラーになりたいとか、そういうことを望んでいたわけではなかったのだが、自分なりに必死だった。それで、皆が解散したあとも一人で練習をしていた。
その日、日曜日も一人で練習をした。切り上げようと思ったころには十八時になっていた。冬だったからもうあたりは真っ暗だった。
急いで帰ろうと思って、部室のドアを開けようとしたら、近くに幼稚園ぐらいの子供がいるのに気が付いた。
顧問が息子を連れてきたのか、と思って、「ここに来たらお父さんに叱られるよ」などと声を掛けたが、子供は無反応だった。ただ、にこにこと笑っていた。…